正午なりの時々日記

休眠中ですが、時々ささやきます。

ペドロ・パラモ

フアン・ルルフォの「ペドロ・パラモ」岩波文庫版が重版されたみたい。この本はいつまでも容易に入手できるように、岩波も配慮してほしいです。そう願うぐらいに、この小説を読み終えた時の衝撃は強かったです。メビウスの輪のごとく凝った構成はもちろんのこと、乾いた空気の中、白黒と(決して過度ではない)原色が絶妙に入り混じった情景描写も素晴らしいです。決して情緒に流されない、適度なセンチメントも大好き。
この作品でもう一つ記憶に残るのが、「旦那」による有難い人生相談。無心に来た男に「どっかの町を襲うんだよ」というステキな言葉をかける旦那。男の「旦那のところに来ると勉強になります」というセリフもあいまって、この箇所は(特にうちのカミさんにとっては)本作の名場面の一つとなっています。