正午なりの時々日記

休眠中ですが、時々ささやきます。

エペペを読みました

季節はずれの風邪をこじらせてしまいました。咳がなかなか引かずに困っています。夏風邪は長引くといいますが早く治さないと。それもあって、ここしばらく土日は外出を控え、家でひたすら積読状態の本を片付けていました。さらに、風邪のおかげと言う訳では無いですが新曲もできました。7/17(土)のなんやライブではその新曲も演奏する予定です。

この間読み終えた本の中で特に印象に残ったのが、ハンガリー人の作家カリンティによる「エペペ」。まったく理解できない言語系統をもつ架空の都市で迷子になり、幽閉状態に陥った語学者の話です。言葉がさっぱり分からんという設定そのものが、例えばベルイマンの野いちごにおける悪夢のシーンのように、夢のもつリアリティを感じさせます。体調不良時に読むとかなり気分が塞ぎこむ内容なのですが、話が進むに従い、主人公が少しずつその都市に愛着を抱いていきます。それに伴い読者のほうも、ずっとこの街で迷子になってもまあいいかとついつい思ってしまう不思議な作品です。妙なことに風景描写の中にいくつか郷愁感を覚える場面があったのですが、おそらく子供の頃、自分が迷子になった経験を思い出させるからだと思います。そういう意味では迷子体験が多い人ほど感銘を受ける作品かもしれません。