正午なりの時々日記

休眠中ですが、時々ささやきます。

三橋一夫「鬼の末裔」

三橋一夫集成の第2回配本「鬼の末裔」を買いました。目次を見ても、1巻に比べて国書刊行会からの選集に未収録の作品が徐々に増えてきました。今だに私は、明朗小説を除いて、三橋一夫のふしぎ小説の文庫本シリーズを古本屋で見かけたことが無いです。そんな私にとって、この復刊は嬉しいものです。
そういえば1巻の解説に「自分の小説は私小説である」との作者自身によるコメントが紹介されていました。興味深かったのは、それに引き続く「カラダの体験以外に、ココロの経験も含まれている」との主旨の言葉。ああ、自分と同じこと考えてる人がいると読んでてちょっと感動しました(←不遜な発言、逆に私が同じことを言っているわけですが)。手前味噌ながら自分も全て実体験を歌っているつもりだけど、それは夢で見た光景や、本を読んで浮かんだ情景や、こうだったらいいなと思う希望などが全部ごっちゃになった広義での経験と考えています。夢にも夢のリアリティーがあるわけで。そういう実体験、記憶と希望が一体化した領域を、歌の中に映しこめればいいなと思うし、音楽ファンとしてもそういう曲が聞くのが好きです。