正午なりの時々日記

休眠中ですが、時々ささやきます。

剣の八

新刊書店でディクスン・カーの"剣の八"を買いました。以前は、ほぼ全作品が訳出されているクリスティやクイーンを羨ましく思ったもの。それが今ではカー作品も邦訳が進んで、かつての入手困難本まで気軽に読めるようになりました。私のような後追いファンにとって喜ばしいことです。ただし、クリスティやクイーンに比べればハードカバー本の割合が多いのがちょっと気になりますが(マニア諸氏からは、大枚はたいて購入するよりは経済的と云われそう)。

ところでカー作品の映像化ってどのくらいあるのかな。カーの評伝や山口正也著「ミステリー映画を見よう」によると、火刑法廷や一部の短編を除いて、さほど映像化には恵まれていないみたいです。おどろおどろな舞台設定、スラップスティックな場面の多い探偵役、そしてほぼ間違いなく結ばれるロマンス劇。ここまで映画やドラマにするのにぴったりの条件が揃っていながらにして、この状況とはかなり意外です。むう。むしろ火刑法廷あたり、舞台設定を日本に翻案して和製ゴシックサスペンスとして映像化したら面白そう。作品のもつサスペンスの強度が尋常じゃないから、さほどオリジナル設定にこだわらずとも幻想的な映像になると思います。問題は、主人公の女性を誰が演じるかということですね。