正午なりの時々日記

休眠中ですが、時々ささやきます。

トラック野郎風雲録

鈴木則文監督のエッセー集「トラック野郎風雲録」を読みました。この本、鈴木則文監督ファンあるいはトラック野郎ファンにとっては必読の書です!トラック野郎の幻のシナリオや監督の頭の中にのみ存在した構想案が紹介されているほか、さらには桃さんのキャラクター設定に関する驚愕の事実が明らかにされています。この本を読み終えたそこのあなた、今日からトラック野郎シリーズや関東テキヤ一家シリーズなどをビデオで見直す生活が始まること間違いなしです。

親父がもともとトラック野郎ファンだったこともあって、私も盆と正月には映画館に連れられてその新作を欠かさず見に行ったものです。おかげでこの体の60%ぐらいはトラック野郎で出来ているという人間になることができました。残りの40%はジャスコユニクロという話もありますが。私にとってこの世の人間はトラック野郎を見て笑えるか否かの2種類しか存在しえず(おいおい)、後者の人種とは永久に相容れないだろうと思っています。ちなみにうちのカミさんは「太宰の詰め合わせ」とか「地質学者です」などの名台詞で私以上に大笑いしています。よく分かりませんが、ほっとしています。

このエッセー集を読んでいても、トラック野郎シリーズを500回観た、いや1000回は観たという筋金入りのファンが登場しまして、私なんてその熱中度では足元にも及ばないわけですが、でも心底このシリーズを愛する気持ちはとてもよく分かります。

さらに印象に残ったのが、鈴木則文監督による文章そのものです。世の不正やはびこる悪を鋭い切れ味でばっさり切り捨てる一方、共に映画を製作した友人たちや心優しきトラック野郎の逸話が人情味溢れる筆致で記されています。その語り口はまさに鈴木監督による人情映画そのまんま。この本こそトラック野郎最新作(シリーズ11作目!)という趣でして、ちょっとほろっとするような読後感のするエッセー集でした。